人間を忘れて病気を診る



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先月、最先端の医療施設を誇るS総合病院へある人の付き添いで行った時の感想。

それはそれは未来の病院へでも行ったかのようであった。受付は銀行のキャッシュボックスのごとく、診察カードを入れると、まず本日の予約内容がレシートで出力されてくる。加えて呼び出し専用のポケットベルが出てきた。
レシートを確認しながら定刻に合わせて○番窓口に行き所定の手続きをする。
その後、指定された時刻・場所へ行き検査を済ませる。検査は1時間足らずで終わり、
昼食の時間となり、最上階のレストランに行く。ここはホテルのレストランかと思うほど病院であることを感じさせない。そこそこに美味しいランチをいただく。

午後は約2時間待ちの診察、先ほどのポケットベルはこのためのものだった。
待ち時間はどこにいてもいいらしい。
指定された診察室前には「○時予約患者診察中」という壁にうめ込まれた電光掲示板がさりげなく案内している。午後2時なのに「午前10時30分予約患者診察中」と出ていた。随分遅れている。
案の定、午後2時予約だったのが結局午後4時診察となる。

やっと診察室に入る。医師は大きなパソコンの置かれたデスクの前に座っている。カルテらしいものも、先に検査で撮ったはずのレントゲン、MRIの写真もない。突然医師がパソコンのキーをたたいた。すると画面に本日行った検査種類とその画像が表示された。
医師は淡々とその画面を見ながら説明し始めた。機械部品でも説明するかのごとくホント淡々としていた。
最後に「なんとも言えません」と冷たい言葉を残して診察は終了した。

あれ、これちょっと違うのではないか。
治療や検査を受けるのは医師と患者が相互に信頼しあい、病気やケガの不安を解消することが本来的なものであるはず。しかしこの病院は人間である患者を診るというよりも科学的に病気を診るという状況になっている。パソコンを見ろといわれても患者側が理解するのは難しい。かといってパソコン画面だけを見て説明する医師を信頼しろといわれても逆に少し不安になってくる。この医師は完全に病気を診ることだけに専念しているように思えた。

「こころ・と・からだ」という本の中で著者の五木寛之は
「“人間を忘れて病気を診る”というまちがいが自然に広がってきてはしないか。すべての新しきものは古びてゆく。そして時代も思想も常に変化してゆく」・・・・・・そう記している。



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Commented by at 2006-05-14 00:36 x
okamiderさん、TBありがとうございます。「仕事を見て人を見ない」合理的・効率的な現代社会でありがちなことですが、失われることの大きさを考えなければなりません。TBいただいたことで再考できてよかったです。ありがとうございました。
(トムノグ)

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昨日の天気が嘘のように、今朝はまたしとしとと雨の朝—。ジャーマンアイリスが咲きた

by kokoro-tomnog2005 | 2006-03-01 18:54 | 人の生き方 | Comments(1)

日々のことをお気軽に綴っています。(トムノグ)


by トムノグ