小村雪岱 傑出した挿絵画家

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小村雪岱(せったい)をご存知だろうか。
大正初期から昭和15年まで装釘家・挿絵画家・舞台装置家として一世を風靡した天才芸術家である。
泉鏡花の本の装釘は雪岱がほとんどを手がけている。
ちなみに「雪岱」という号は鏡花が名付けた。

「私の描く人物には個性がありません。これが私の絵の特徴で同時に私の最も非難される点です。しかし個性を描出することには興味が持てないのです。」と生前中に語った雪岱。

能面のような無表情さは、ある時は泣いているように見え、ある時は笑っているように見え、その時のふとした表情の動きがたまらない魅力であり軽妙な美しさといわれている。

雪岱の描いた原画類は戦災で焼失したり遺族が処分したために行方不明になっているものがほとんどである。そうした中、私の知るある郷土史家が長年にわたり小村雪岱書誌研究を続け500点を上回る作品目録と装釘本や挿絵を収集し資料として残した。
郷土史家はすでに亡くなったが、「雪岱の関連資料のおよそ7割はここにある」と自分の書斎で語ったことがある。
「できれば公開したいなあ」とも。
その意志を平成13年に遺族が成し遂げた。
ある文学系の公施設に寄託したのだ。貴重な資料として後世に残す道ができた。
小村雪岱の業績の一部が価値のわかる郷土史家によって残され公開された功績は大きい。

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泉鏡花「日本橋」
雪岱が鏡花と組んで装釘をした最初の本である。
現代にも通じるデザイン的センスは素晴らしい!

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こちらは
泉鏡花「斧琴菊」*(よきこときく)
装釘 小村雪岱
なんと洒落た色彩だろう。


*「善き事を聞く」の意を暗示するもの。



Commented by アートバン at 2006-09-02 00:12 x
小村雪岱知りませんでした。斧琴菊は色のコントラストが斬新です。女性像は鏑木清方などの画風を感じます。
接点があったのでしょうか。



Commented by at 2006-09-02 01:17 x
アートバンさん、雪岱いいでしょう。
<トムノグ>

by kokoro-tomnog2005 | 2006-09-01 22:51 | アートな日々 | Comments(2)

日々のことをお気軽に綴っています。(トムノグ)
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