一分(いちぶん)
2006年 12月 10日
藤沢周平原作、山田洋次監督、木村拓哉主演
「一分」とは、一人前の存在として傷つけられてはならない最小限の威厳をいう。
この作品では、木村拓哉演じる下級武士が夫婦の絆を通して「譲らない心」「譲れない愛」を見せる。
それは武士道でいうところの*「義を見てせざるは勇なきなり」に通じる。
(*そうすることが正しいと知りながらしないのは、その人に勇気がないからであるという意。)
我々現代人の日常にもよくあることではないか。
道理を知りながら見ぬ振りをしたり、保身に走ったり、多少の利益欲しさに卑屈になったり。
人は何のために生きるのか。
そして後悔とは何か。
人としての「一分」を果たせない政治家や官僚の多さは、この国をずいぶん駄目にしてきた。
貧富の格差拡大、中小零細企業を潰す規制緩和、赤字財政を理由に国の根幹である社会保障を縮小する愚作、日本の文化をおろそかにして欧米に傾注した結果失ってしまった日本人の同一性など。
藤沢周平の作品には、日本人のあるべき姿が描かれている。
「武士の一分」は、山田洋次監督が忠実に映画化し、木村拓哉が好演した。
地味な作品だが、お薦めしたい作品のひとつである。
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藤沢周平作品がなぜ今脚光をあびているのか、
日本人のあるべき姿なんでしょうね。
1・2作のDVDをご覧になったとのことですが、私は最近妙にはまっていまして藤沢作品のDVDを集めようかと考えています。先頃発刊された週刊「藤沢周平の世界」(朝日新聞社)を第4号まで買ってしまいました。