軍事郵便から紐とく画家のその後
2013年 03月 12日
古沢岩美は第2次大戦で中国に従軍し過酷な戦争体験をしている。
その激戦の地から家族や友人、知人に宛てた手紙がこの本となった。
「軍事郵便」 1996年発行 美術の図書・三次企画
軍事郵便はその性格上、軍により規制されていたので言いたいことは書けないが古沢の手紙はあたり障りのない文章と戦地の素描画を書いたものでかえって悲哀を感じさせる。
この本に掲載された手紙は家族や友人が大切に保管し後に古沢に渡したものである。
他の書籍資料から古沢がどれほど戦争を憎み反戦画家となったかは知っていたがこの軍事郵便からさらに静かに戦争への怒り憎しみを感じとることができた。
エロチックな裸婦画の代表のようにいわれているが本質は全く違う。
戦争により失ったものへの悲しみを避けて通るようなエログロにあえて挑んでいったのが古沢という画家だったのだ。
軍事郵便に掲載されている写真
左があの岡本太郎、右が古沢である。
戦火の中で出合った互いに知り合う画家同士が何を語ったかはいうまでもない。