希少な「正月用引札」から


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引札(ひきふだ)「福神金の蔓・発顕之図 恵比寿天」石版画 37.5×26㎝ (個人蔵)


引札とは江戸後期以後、商店が開店や商品販売の宣伝のために配った広告紙です。
語源は「客を引く」あるいは「配ることを引く」と言っていたので「配る札」という説があります。
当初は木版画でしたが明治時代に入り活版印刷が普及したことによって大正時代にはチラシへと変貌しました。

この引札は正月用のもので「絵びら」とも呼ばれ明治から大正にかけてのおよそ50年の間に全国の商店が配布したもののひとつで現在の埼玉・深谷市で雑貨屋を営んでいた橘屋芳太郎が明治期に配ったものと思われます。
福の神、恵比寿、金の蔓(つる)、鯛、富士山、鶴など正月にふさわしい縁起のよい図は見事です。

ちなみに配布者である「橘屋」の屋号は深谷は当時、みかん畑(橘)があったようでその由来と推測します。
「みかんの花の咲く丘」という歌をご存知でしょうか。これは作詞家・加藤省吾が深谷を舞台に作ったものです。
まさかと思いましたが屋号の由来の推測はあたっているかもしれません。

この希少な引札と同じものが「埼玉県立歴史と民俗の博物館」に収蔵されています。
はたして何枚くらい配布されたのでしょうか。
数百枚から1,000枚くらいでしょうか、そのうちの1枚が手元にあることはうれしいです。
おそらく現存は10枚とないでしょうね。

粋な引札、日本文化の深さを感じます。








by kokoro-tomnog2005 | 2015-01-14 11:21 | アートな日々 | Comments(0)

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