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心の手帖


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古沢岩美という画家

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「月に吠える」 油彩4号 1993年 古沢岩美(1912−2000)

この作品は93年に一枚の絵にて60万円で販売された。
きっと相当目利きの方がお持ちなのであろう。
フォトは別冊一枚の絵93年版掲載のものであるが原画を見たらもっと感銘を受けるに違いない。

古沢の生きざまからこのやせ細った野犬は古沢自身ではないかと思うが。
第2次大戦時、中国に従軍していた古沢はこの世の地獄を体験し心の奥底に大戦への憎しみを残す。
画の背景は中国の揚子江岸、胸中をこの野犬になぞらえて表現したものではないか。
険しい岩山の合間に映る月に悲しみ憎しみなどの言いようのない気持ちで吠えることしかできない自分の哀れさを見事に描いた。

古沢の画といえば裸婦、エロス、醜悪などと紹介され一般的に誤解されているが正しくは権力、政治、特権、虚飾、欲望などに対する批判を古沢の独特の感性表現で世に訴えたのである。
あの三島由紀夫が優れた芸術家として古沢を絶賛している。
通好みには高い評価をされたが古沢が文化勲章のような国の権威的な表彰を受けることはなかった。
そんな古沢の気骨ある画家人生に脱帽である。


実は最近、古沢の珍しい画(油彩・8号)を飲み代程度の格安金額で入手した。
落ち穂拾いのような掘り出しものだったので収集家には贋作と疑われよう。
しかし筆致、サイン共に古沢のもので真作に間違いないと思うが詳しく調べて裏付けを取りたいと考えている。
この画だが虚飾、欲望という古沢の観念がいかされていてなかなかの作品と思う。
近くこのブログで紹介できたらと願っている。


没後13年、この画家の功績をあらためて評価したい。
そしてもっと深く古沢の胸中を研究したいと思う。

それにしてもこの「月に吠える」は心を揺さぶる確かなものがある。



by kokoro-tomnog2005 | 2013-02-17 12:11 | アートな日々 | Comments(1)
Commented by 因幡四郎 at 2013-05-17 08:19 x
仲村久慈(八鬼)の第一詩集『貧しきものの歌』を読んでいたら、装幀は古澤岩美とありました。この画家のことも気になり調べていたら、この「心の手帖」出合い、参考になりました。

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