カテゴリ:アートな日々( 139 )

画家・松下紀久雄の顕彰は順調に進み沢山の作品と文献と生き証人の方々に出合えました。
その結果、この画家は一貫して「心が濡れている」、いわば情に厚い人柄であることがわかりました。
それは作品に表れています。
職業絵図はもちろん、庶民の生活風景などに端的に描かれています。

今日は、そのような作品の中から3点を紹介します。
(作品説明文の一部は「日本むかし絵」から引用しました。)

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「味噌造り」 
江戸時代は上は将軍から下は庶民に及ぶまで食事に味噌汁は欠かせないものとされ、その風習が今に続き、日本人にとって食生活になくてはならないものとなりました。そんな貴重な「味噌造り」を職業絵図として残したのです。
味噌は知っていても製造している現場を知らない多くの人にこの絵図を通して貴重な味噌を再認識して欲しいという願いもこめられています。

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「駄菓子屋」
かつては子供たちの交流の場として最高に楽しい処でありました。
駄菓子という名称は高級菓子に対する下等菓子の意で江戸時代には単価が一文であったので一文菓子と呼ばれていました。駄菓子屋は古く、庶民的裏町に多く小さな店を出し子供たちの憩いの場、教育の場でありました。
戦後、駄菓子屋のほとんどは姿を消し、子供たちにとって天国の場がなくなりました。
松下は子供たちの憩いの場がなくなることにある種の危機感を持っていたのではないかと思います。

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「蔵町の雨」
これは川越の蔵町です。川越の織物は江戸時代から産地として有名でした。城下町の婦女子は、手内職にはげんだといいます。その雨の蔵町に着物姿の女性がとても似合うと松下は言いました。
庶民の町生活をこんな粋な絵図にして表現した松下こそ粋な画家といえるでしょう。


今日は、この3点の紹介のみですが、いやいや他にも魅力的な情の厚い作品が沢山あります。
松下の作品は後世に残す価値があります。
若い人たちが観る事で歴史を学んでどう生きるべきかを考える良き教材です。
どこの美術館や博物館にいってもこのような作品群に出合えません。
絵画は単に綺麗であればいいとか、高名作家のものなら右へならえでいいとか、そういうものであってはならないと信じます。観る側が何かを感じ、何かを学ぶ、そのような視点が見出せる作品に意味があると思うのです。

参考文献:「日本むかし絵」((有)むかし絵会 ・1999年 )



by kokoro-tomnog2005 | 2018-07-12 21:50 | アートな日々 | Comments(1)

絵を描くことで学ぶこと

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8歳の孫娘が以前購入した木版画を模写してくれた。
模写といっても子供なりのオリジナル。
そっくりではない。
構図も被写体も気にしていない。
孫娘に「描くのに一番気にしたことは何」とたずねたら、「色」と答えた。




by kokoro-tomnog2005 | 2018-07-10 11:05 | アートな日々 | Comments(0)
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「醤油造り図」 10号 紙本・墨彩  画集心のふる里 P39 から


醤油造り図が別にあった。画集に掲載されている上図は、先に私が収集したものと違う。
全体の構成は同じだが人物や樽などが微妙に違う。
落款もわずかな違いが見える。
かといって私が所有する作品が贋作ということではない。
共シールや額装は、むかし絵美術館に展示のものと同じだ。
画集によれば作品名が同じで構図が違うものはいくつもある。

確証を得るため、川越の松下紀久雄むかし絵美術館に出かける準備をするため笛木醤油店に電話をした。
信じられない言葉が返ってきた。
最近、閉鎖したという。
作品もすでにないというではないか。

顕彰の道も閉ざされてしまうのか。
ショックで言葉もでない。

しかし松下の著書や画集数冊を丹念に読んでいくと手がかりもつかめてきた。
文献は、1990年代でその記録は終わっているが相当あった作品すべてが消えてしまうはずがない。
遡ること1987年、奥多摩に初期のむかし絵美術館を開館、アトリエも別にあった。
近辺の菓子店や酒店などに各々の所有作品が現存することも判明した。
奥多摩は、仕事の関係で定期的に訪れるので馴染みがある。

顕彰のヒントは、奥多摩の地にあることはまちがいない。
かすかな光りと共に松下紀久雄の功績が見えてきた。
この作家の功績を絶対消してはいけない。
私の執念の顕彰作業が始まった。

続く





by kokoro-tomnog2005 | 2018-05-09 15:21 | アートな日々 | Comments(0)

むかし絵 松下紀久雄

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「醤油造り図」 墨、彩色・紙 F10号 松下紀久雄 (個人蔵)

松下紀久雄の「むかし絵」は、日本人に馴染みやすい墨絵という表現で、主として江戸から明治に視点を向け、庶民生活を中心に描かれた。
本画は、職人絵のひとつで醤油醸造所の様子が細かく描写されている。
原画の一枚として入手できた幸運に感謝したい。

松下紀久雄・むかし絵美術館は奥多摩にあったが、今は川越市の笛木醤油川越店の2階に40点余りが所蔵展示されている。(川越市幸町10-5)
まだ訪れていないが、醤油店の美術館に本画と類似の作品があるのか興味深々である。

松下のむかし絵作品は、相当数あるようだが市場にはなかなか出てこない。
これを機に顕彰したいと思うがとりあえず図録から概要を知りたい。


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松下紀久雄/略歴
画家、漫画家、作家 太平洋画塾卒、現代水墨画協会顧問、双樹会参与
1918年生 父は俳画家、兄は作家(佐賀潜)1952年朝日新聞に「東京むかしむかし」を連載、イラストを担当。1980年「松下紀久雄墨彩むかし絵展」開催、以後展覧会60数回、1987年東京・奥多摩に「松下紀久雄むかし絵」美術館が開館。著書は「日本むかしむかし」「墨彩むかし絵」など多数。
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by kokoro-tomnog2005 | 2018-05-06 15:08 | アートな日々 | Comments(0)
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鶴田吾郎(1890-1969)
「練習中のオーケストラ」淡彩 35×53.5cm 1958年制作

旧ソ連時代のレニングラード交響楽団(指揮者:ザンデルリンク)の練習中風景である。
(新宿コマ劇場で日本公演があった。)
この作品は、「練習中の大交響楽団(コンテ・パステル)1958年」148×365.5cm
改組第1回日展出品作の下絵の一部作品と思われる。

縁あって2年前に某オークション会社から格安で入手することができた。
1979年新宿小田急で開催された「キャンパスの詩人・鶴田吾郎展」の出品作であり、
当該図録にも掲載されていた。巡り巡って私の手元に来たことが不思議な縁である。

私はこういうスケッチ画が好きで完成された油彩画よりも魅力を感じる。
大型のコンテ・パステルで描かれた作品は、平成27年に千葉県立美術館の企画展に展示され、
同館が所蔵しているようである。

長年全国各地で写生行脚を続けた鶴田のデッサン力は定評があり、風景のみならず群集や労働者を描いた作品は骨太に生き生きとしている。生動する対象物の再現描写は難しいものであるが鶴田は線描の的確さと迅速さに長けていた。
そんな作品のひとつが自分の手元にあること、大きな喜びを感じる。
いずれふさわしい所に渡したいと思うが、しばらくは私の手元で静かに休ませてあげたい。








by kokoro-tomnog2005 | 2017-12-04 11:07 | アートな日々 | Comments(0)
先日夕方、久しぶりに孫娘(小1)と落描き遊びをしました。
画用紙、アクリル絵の具、オイルパステル、バレンを用意。
わずか30分でしたが、それぞれ2作品を描きました。

最初は、好きな色の絵の具を3色選んで適当に混ぜ合わせて6色作り、画用紙に塗ったり、薄い紙に塗ったものを版画のようにバレンで押し当てたりしてワイワイ楽しみました。
そろそろ塗り終わった頃、後付けの題目をつけて仕上げました。

孫娘は私などより遥かに発想力が高く、なかなかの作品が完成。
わずか30分でしたが、二人とも満足しました。

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ニューヨークのギャラリーに売っていそうじゃないなんて冗談を言いました。(笑)





by kokoro-tomnog2005 | 2017-10-11 10:04 | アートな日々 | Comments(0)
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テレビ東京「開運なんでも鑑定団」のお宝鑑定に挑戦。
やっと金の招き猫10個到達。(2017.7.25)

昨年末に8個まで行ったが、今年の3月に家のリフォームをした際にテレビのケーブル工事があって3週間中断した。その際、なんとすべてリセットされゼロになってしまった。
再度5月からやり直してこのたび10個に、通算なら18個になっていたというのに。

そして約2ヶ月を経て目利き認定証が送られてきた。
しかし

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がっかりな認定証
名前もなければ日付もない。
所詮、懸賞のようなものだから期待した方がまちがい。

最近の鑑定団は、鑑定人の鑑定額に一貫性がなくテレビ視聴者が鑑定額を当てるのは至難の業。
しかもニアピン賞は、鑑定額の±10%の額を当てるというものでピタリ賞より難しい。
本気になって当てにいっていたが、あほらしくなった。

BS放送のお宝サロンの方が面白いかもしれない。
石坂浩二の存在は大きいな。






by kokoro-tomnog2005 | 2017-09-17 18:05 | アートな日々 | Comments(0)
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<2017.7.13「木版画 珍品発見」と題して本ブログで記事をアップしましたが、その後の調査により判明した内容の追加記事です。>

作品の制作経緯が不明でしたが、関連資料を調べていたら2009年(平成21年)9月に姫路市立美術館で開催された和田三造展の図録に解説が掲載されていたことが判りました。


<原文のまま>
この作品は恐らく1950年代に作成されて行方不明になっていた原画を三造没後の1973年に友人の川勝堅一が「麦酒妃 ばくしゅひ
」と命名し、京都版画院の品川清臣が版画化した。
岩田藤七、楢崎宗重、木村東介、小林桂子ら三造と交遊した人々の協力もあり、「昭和職業絵尽」「続昭和職業絵尽」連作など三造作品を多数版画化していた品川が、三造が生前に大事にしていた彫師、摺師を使って発刊した。

*川勝堅一:高島屋の常務取締役、在職中に工芸デザインの育成に尽力。 岩田藤七:ガラス工芸家、文化功労者。 
楢崎宗重:美術史家、立正大名誉教授。 木村東介:美術商、羽黒洞・不忍画廊経営。 小林桂子:織物作家?



作品の制作経緯から、原画があって版画100枚が世に出たことが判りました。
そのうちの2枚が姫路市立美術館、そして私のコレクションであること。
他は上記の関係者や愛好家の手元に渡ったと思いますが、48年経過し何枚残っているか興味あるところです。
いずれにしても希少性の高い作品であることは間違いありません。

さらに調べを進めます。






by kokoro-tomnog2005 | 2017-08-21 15:54 | アートな日々 | Comments(0)
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盆明けの16日(水)、あいにくの雨だが久しぶりに川越市立美術館を訪ねた。


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「名品と出会う」(企業コレクションによる日本近代洋画展)と題され興味津々。
錚々たる作家の61点は見事だった。
経済成長期に企業が挙って収集した絵画がこうして紹介されることは喜ばしい。

高名作家に混じって忘れられた作家、松田文雄の作品2点に眼を奪われた。
あいにく図録を求めなかったので作品写真を掲載することができないが、大作で確かな技量は本展の中でも際立った。

夏休みで子供たちも来館し、にぎやかだった。
クイズ形式で観賞させたり、感想メモを掲示したり、美術館側は創意工夫している。

私はできればそういう演出のない静かな空間で観賞したかったがやむ得ない。
9月の平日にもう一度訪れたいと思う。





by kokoro-tomnog2005 | 2017-08-17 11:40 | アートな日々 | Comments(0)

木版画 珍品発見

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「麦酒妃(ばくしゅひ)」 木版画 14/100 44.4×34.4cm 画:和田三造(1883-1967)
 版元:京都版画院  彫師:遠藤光局  摺師:伊藤智郎

1950年~60年代頃の作品と思われる。
和田三造の昭和職業絵尽シリーズの版画を収集している中で発見したもの。
奇抜な婦人像に眼を奪われ、珍品と確信したが・・・

麦酒王といえばキートンの映画を知る。麦酒会社で成功する内容だった。
麦酒妃とは、あまり聞かない。

世界の后妃でビール好き、そんな文献資料はなかなか見つからない。
演劇や映画、小説などに紹介された著名な作品はないか。

ようやく見つけた。
オーストリア皇后のエリザベート(1837-1898)、ミュージカルや小説になっている。
身長172cm、ウエスト50cm、体重43~47キロ スタイル抜群で美人?だったとある。
しかし贅沢で尊大、放漫、狭量かつ権威主義者であったらしい。
奇抜な婦人像から想像できる。

そしてなんとビール関連資料にエリザベート妃は、大のビール好きだったとあった。
皇帝の食卓に大衆的なビールは並ばないと思っていたが、先のエリザベートの性格ならやりかねない。

モデルは間違いないと思われるがさらに調べを進めたい。
ここまでは、あくまでも推測。作者の和田三造はいない、関係者も皆いない。
それほどこの作品は古い貴重なものである。
調べる価値はある。





by kokoro-tomnog2005 | 2017-07-13 18:53 | アートな日々 | Comments(0)

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by トムノグ